行こう、はじめ。
一体何処に?
行こう、はじめ。
だから何処に?
行こう、俺と。

振り返った顔はがらんどうだった。毎日見てたものすらわからなくなって情けなくなる。
それと同時に夢の中でさえ自分を曲げられぬ自分に苦笑いした。
行けないよ、俺は。
映画撮りかけだし。
それに、
本物の伊藤だったら言わない言葉だし。
行けないよ。

答えきるとゆらゆらと青年の影は消えた。
本当に夢だったんだなぁと実感した。
そして夢の中でさえも俺はあいつの姿を歪めたんだなぁと思った。

とても悲しかった。
ありのままに記憶することがどんなに難しいことなのか、ちっとも知らなかった。

悲しくて悲しくて涙が溢れた。
そして、泣きながら夜と朝の隙間に目を覚ました。

明けない夜はない。
けれど、
明けなければ良いと思う夜は確かにある。











「夜と朝の隙間に」
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© あさき
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