カーテンを引く音に身じろぎする。すぐに午前の強い日差しが溢れる。耐えきれずに目を
さます。緩慢にベッドに起きあがると少し頭が痛かった。
昨日例によって例の面子で飲みに行った。話題は確か宮沢の生存本能が薄いとか薄くない
とかそういう話だったはずなのに石川が元彼女とヨリを戻した話に及び、酔っているんだ
かいないんだかわからない中原に藤岡を呼ばれたのだった。
うーともはぁともつかない意味不明の溜め息を吐きながらだんだんと意識を覚醒させてゆ
くと部屋の中に良い香りが満ちているのに気づいた。
「起きた?」
「うん」
返事をすると彼女は黒髪をかすかに揺らして笑った。彼女の笑顔はとても正しい気がした。
それが奇妙に懐かしくて奇妙に息苦しかった。優柔不断な自分を責められている気がする
時がある。主に何かに迷っている時に。
「オムライス作ったの。食べよう」
「ん」
ちゃんと朝から――すでに昼近くではあるのだけど――調理器具を使った料理が食べられ
ることは最近の石川にとっては奇跡に近い。気詰まりだと思って悪いなとぼんやりと思う。
何も言わないうちに一度別れる前に二人で雑貨屋でかったグラスに入れた水を手渡された。
干からびた喉に水が心地よく落ちてゆく。ふと飲むのをやめて窓からこぼれる光にあてる。
小さな水面はきらきらと輝く。

「ねぇ、オムライスにケチャップで名前書いてよ」
「子供じゃないのに?」
仕方ないわねと笑う彼女が懐かしくてやっぱり少し居心地が悪かった。




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© あさき
img:ミントBLUE
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